難聴で障害年金が受け取れる場合
1 難聴の障害年金受給
難聴で障害年金の受給が認められる場合については、他の障害年金同様の基本となる要件を満たす必要があります。
上記を前提に、一定の障害状態にあると認められると、障害年金が受給できます。
2 前提要件
⑴ 初診日の特定
障害年金の受給については、原則として、初診日(障害の原因となった傷病について初めて医療機関を受診した日)が特定されている必要があります。
難聴であれば多くは耳鼻科が初診になると思います(事故で聴力が低下した、というような場合であれば救急搬送先の病院ということもありえます。)。
ただし、先天性の障害で20歳前に初診日がある場については、正確な日付までは分からなくても、20歳前のある時点で医療機関を受診していたことが分かれば足りる、という例外もあります。
⑵ 納付要件
初診日が特定されると、そこを基準に年金保険料の納付要件を満たしているかを確認することになります。
具体的には、初診日の前日の時点で、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がないか、年金制度に加入してから初診日の属する月の前々月までの期間の1/3以上の未納がなければ要件を満たします。
20歳前に初診日がある障害基礎年金に関しては、初診日の時点では年金保険料の納付義務が生じる前であるため、保険料納付要件自体がありません。
3 障害の状態
⑴ 聴覚の障害の認定基準
聴覚の障害の認定基準は以下をご参照ください。
参考リンク:日本年金機構・国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
⑵ 片耳だけに障害がある場合
まず、片耳だけに障害がある場合には、片耳が一切聞こえない場合でも障害手当金しか認められていません。
なお、障害手当金と障害年金3級については、障害厚生年金(初診日時点で厚生年金保険に加入中であった場合)に限られますのでご注意ください。
例えば障害厚生年金に加入していない子供のころに片耳だけに障害が生じたけれども、もう片方の聴力には問題がないという場合には、障害手当金は受け取れないということになります。
⑶ 等級認定
等級認定について、障害年金認定基準を見ると細かい説明がありますが、簡単に整理すると、「平均純音聴力レベル値」と「最良語音明瞭度」の2種類の検査結果を参照していることが分かります。
例えば、障害年金2級の「両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの」は、平均純音聴力レベル値のみを参照して90デシベル以上であれば2級と認定されるということになります。
一方、「『身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの』とは、両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のものをいう。」とされていますので、平均純音聴力レベル値が80以上90未満であっても、最良語音明瞭度が30%以下であれば、同様に2級と認定されるということになります。